トップ / 看護の物語 / 「今をどう過ごしたいか」を、一緒に考える

終末期

「今をどう過ごしたいか」を、一緒に考える

訪問に気持ちが向かなかった方との関わり。介入を急がず、必要なときに応えることが、希望を話せる関係につながっていきました。

1 / 3

訪問看護を始めた頃

訪問看護の導入に、なかなか気持ちが向かない方がいました。ご家族は先々の体調を心配し、支援を望んでいましたが、ご本人は訪問を必要と感じていない様子でした。訪問が始まってからも、ご本人との間には距離がありました。

支援する側には、状態が変わったときに備えておきたい思いがあります。一方で、ご本人の気持ちが追いつかないまま支援を重ねても、望む暮らしにはつながらないかもしれません。そこで大切にしたのは、介入を急がず、様子を見守りながら必要なときに応えることでした。

2 / 3

必要なときに応えることから

ある夜、体調が大きく変化し、連絡を受けて訪問したことがありました。状態を確認し、医師とも連携して対応しました。この夜の出来事が、ご本人との間に信頼が生まれるきっかけの一つになりました。

その後、ご本人が通っていた自費のリハビリに看護師も同行しました。そこで支援の方法を教わり、訪問の場でも続けられるように工夫しました。ご本人が選んだリハビリを、在宅でのケアにつないでいったのです。

3 / 3

「これから」だけでなく、「今」を見る

関わりを続けるうちに、支援者の視点にも変化がありました。初めは先々への備えに意識が向いていましたが、ご本人が今したいことや、人とのつながりをどう支えられるかを考えるようになりました。

自然の中へ出かけたある日、ご本人は、死への思いや、時代の移り変わりを見届けられないことへの心残りを、ぽつりぽつりと話してくれました。ご本人の言葉に耳を傾けることで、支援者は「先の備え」だけでは見えなかった、その人が大切にしている時間に気づいていきます。

この物語から

この物語から

振り返ると、「本人の気持ちを大切にしながら、必要なときに応えることが、希望を話せる関係につながるのではないか」という問いが見えてきます。待つこと、応えること、本人が望む活動を支えること。その一つひとつを通して、何を大切にするケアなのかを考え続けた事例です。

ご本人・ご家族の同意のもと、個人が特定されない形で掲載しています。

この物語は、だるまのチームで関わった支援の記録です。経過やケアの内容は、お一人おひとりの状況によって異なります。

物語の一覧へ戻る